ファイブのテンプを交換してみる の巻
今回の患者さん。
SNK361K1 日付、曜日が白、ムーブメントは7S26Aという訳わからんバージョンです。
このムーブは、振り石が取れてしまっている状態のテンプに
いぢり壊したテンプより振り石だけ嵌め込んで使ってましたが、
接着剤で止めてなかった為、数週間でまた石が取れて、死亡しました。
メーカーからテンプ一式が届きましたので、蘇生手術をしてみませう。
石がどこかに飛んでなくなってしまっています・・・。
やはりきちんと接着剤でくっつけておかなくては駄目でせうね。
私のファイブだけかな? この振り石が無くなっている故障は結構目にします。
私の部品箱には石の無いテンプがゴロゴロと・・・・(笑)
コンタクトレンズでも入っていそうなパッケージ テンプ一式です。
テンプ(てんわ)、天真(甘栗じゃない)、振り座、振り石、ひげぜんまい、ひげ玉、
までが組まれています。
今回はテンプ受け、テンプ石等は再使用します。
このテンプ受けから テンプ一式をはずさないと事は進みません。
ひげ玉は小さな−ネジで止まっているので、ネジを緩め、玉ごと取り出します。
次にひげ自身ですが、緩急調整針についている ひげ棒に挟まれています。
天真に近いほうは動きませんが、天真に遠いほうはクルッと回せます。
クルッと回すと、2本のひげ棒の間隔が開き、開放されますので、
ようやくここでひげが取り出しできます。
取り付けはこの逆ですので説明は不要でしょう。
さてテンプ単体が組みあがったら いよいよテンプを合体させます。
心臓移植で、肝心の心臓を体内に入れる瞬間です。
正しく心臓が(テンプが)入れば、すぐに心臓は脈を打ち始めます
ある意味生命を感じる瞬間でもあります・・っておおげさ。
さて心臓を入れる為の下準備で、ゼンマイを1〜2回転巻いておいて
アンクルにテンションを掛けておきます。
アンクルの尻尾が左右にカチャカチャ動くことを確認しておきましょう。
アンクルの安定位置は右、左の二通りありますが、
写真で見たときの 尻尾が右側ではテンプを入れられません(写真NGの位置)。
上の写真の状態(左側)にアンクルを振っておきます。
いよいよテンプ一式を入れますが、入れていく角度が重要です。
まず上の写真のような角度で天真を入れます。
次に下の写真のように テンプ受け自体を天真を中心に(天真はすでに刺さっているので)
右回りに回して位置を合わせます。
正しく位置が合っていれば、ほんの少しの衝撃でテンプは動き出します。
軽く衝撃を与えても心臓が動き出さない場合は、位置がずれてセットされて
アンクルが振り石を蹴れない状態になっています。
もう一度アンクルの左右からやり直します。
このテンプ入れて動き出した瞬間が時計をいじっていて一番気持ちいい瞬間です。
おぉ〜心臓が動き出した って。
ついでに 時針、分針を交換して、秒針を白くペイントしちゃいました。
いやぁ〜ファイブっていいですね〜ぇ。 ますますファイブの泥沼に嵌っていってます。
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